イラクピースアクション

戦争よりも祭りを!イラク訪問団レポート2003/3/7 岡田哲扶、岩井秀夫

イラクへ向けて沖縄を出発

2月12日 沖縄出発

東京にてイラクへ出発するにあたって「世界の人々とともに、2.15ピースアクション in 東京」と合同記者会見。

2月13日 成田空港発〜アムステルダム

2月14日 アンマン〜バグダット到着

イラクアーティトユニオン ダウド・アル・カイシ(DAWOD-AL-KAISY)会長と面会。滞在中のホテルに、まず「ユニオンオブイラクアーティスト(UNION OF IRAQ ARTIST)」のオフィスディレクターのハジム・アル・アミリ(HAZIM-AL-AMIRY)氏が現れた。「この後、我々の責任者があいさつに来るのでしばらく待って欲しい」との事。ダウド会長登場。われわれにガイド役として付いているイラク政府担当官の対応が明らかに違うので、しかるべきポジションの人が来たという事がうかがえる。

ダウド会長:「文化省を代表して歓迎致します。この大変な状況下にイラクを訪れられたことに感謝いたします。滞在中は不自由なことがないよう何なりと申しつけて下さい。」

喜納:「丁寧にお迎え下さってありがとうございます。我々は平和を願って沖縄から来ました。今こそイラクが勇気を持って世界に平和を発信してくださることを願ってやみません。」

とあいさつを交わし、こちらから

●コンサートでイラクのアーティストと共演したい。
●「花~すべての人の心に花を〜」をアラビア語で歌いたい。
●平和のモニュメント作りのための武器提供を要請するため、しかるべき人に会わせてほしい。

と要請した。


イラク攻撃に反対する世界同時アクションデー参加

2月15日 イラク攻撃に反対する世界同時アクションデー 各国NGOと共にピースパレード

各国NGO・ピースパレード出発前の合同記者会見。NGOまとめ役の白人男性の司会で会見が始まる。「ブッシュ、ブレアもまだベッドの中だ。我々は彼らが夢の中にいるうちに行動を起こしてしまおう。そうすれば彼らは眠りを妨げられるであろう。この日は世界中が連帯する日だ。一緒にデモンストレーションをして平和をイラクへ!」と、かなりアグレッシブな言葉で会見が始まり、IRAQ PEACE TEAM、BRIDGE TO BHAKDHADに続き、喜納がスピーチ。

喜納:「地球は人類の破壊行為に耐えられなくなっている。地球はブッシュやブレア、フセインなど政治家たちだけのものではない。イラクの子ども達やおじいちゃん、おばあちゃん、女性達などすべての人々のものだ。ブッシュとフセインが手を結んで対話を始めたら、どんなに人類に貢献できるだろう。国連にはもっと強力なアイデンティティをもって、リーダーシップを発揮してほしい!」

スピーチが終わると拍手喝采。手応えがあった。その後、何名かのスピーチ、簡単な質疑応答で会見終了。
終了後も日本のメディアのインタビューを受ける。

ピースパレード

最初の5分はサイレンス(沈黙)で歩き始め、その後はそれぞれのスタイルで約1時間歩く。国連オフィスの前を通過し、ティグリス川に架かる橋まで。橋の上でみんなで手をつなぎ、人間で橋をカバーする。そして正午になったら1分間、その場でストップするという予定。
記者会見場の前よりパレード出発。総勢300名ほど。われわれ一行は前から3団体目。前はフランス、後ろはスウェーデンのNGO。一行の最前列には「すべての武器を楽器に」の横断幕を、川満信一団長と広島の山根康弘氏(ヒロシマ祭り実行委員会)が持つ。続いて喜納、チャンプルーズの喜納幸子が三線、そしてエイサー太鼓と続く。
出発後10分ほど沈黙で行進した後、喜納の合図で太鼓を打ち鳴らす。「ヒヤサーサー! ハイヤー!」のおはやしにイラクの子ども達が集まり出す。国連オフィスの前を通るとセキュリティーの兵士も手を振る。子ども達や通りで見ている大人達もおはやしをまねて応えてくれる。途中でエイサー曲「仲順流り」「唐船ドーイ」を演舞しながら行進は続く。商店街に入るとさらに人は増え、アップテンポで太鼓を鳴らすと、奇声を発して応援してくれる。この声をあげるときは「最高!」という意味があるそうだ。どこかアイヌの掛け声に似たものがあった。ティグリス川にかかる橋の前で正午、沈黙。そして橋の上まで行きピースパレードは終了。
笑顔のイラク市民に囲まれる。各国のNGOの人々とも笑顔のあいさつ、握手を交わす。

喜納はピースパレード終了後、イラクの衛星TVの取材、フジTVの取材を受ける。

イラク アーティスト ユニオン オフィスへの招待

2月16日 イラク アーティスト ユニオン オフィスへの招待

ダウド会長より、コンサート日程の変更などの不手際について謝罪を受ける。重ねて昨日のピースパレード参加へのお礼が述べられる。どうやら昨日の日中、イラク衛星テレビでくり返しピースパレードの模様が放送され、大半はわれわれ一行のエイサーの映像だったそうだ。一行からは沖縄の魔除け・シーサー、自身のCDなどを贈呈。

喜納:「シーサーはバビロンのイシュタル門に描かれたライオンに似ていて、悪いものを追い払い、良いものだけを受け入れる守り神です。」

国連開発局イラク本部(UNDP)の呼びかけでピースセレモニーに参加

「世界人類が平和でありますように」と彫られた垣樹のセレモニーに、国連開発局イラク本部より参加要請があり、かけつける。国連開発局イラク本部フランシス・デュブワ代表とあいさつを交わす。
マスコミ数社の取材を受ける。
昨日のピースパレードに参加していたNGOの白人女性が声をかけてきた。「あなた達はスピリットを持ってきてくれた。正直、平和運動の継続に恐怖があったけど、どうどうと打ち鳴らされるあなた達の太鼓のビートを聞いて、その恐怖感の殻が壊れた気がする。」とのこと。この言葉に喜納はじめ一行も感激する。今後の平和運動を示唆しているように感じられた。

国連開発局イラク本部へ要請書を提出

2月17日 国連開発局イラク本部(UNDP)へ、現状からの平和解決に向けての要請書を提出

国連オフィスで迎え入れてくれたのは、昨日あいさつを交わしたフランシス・デュブワ代表。執務室に通され、歓迎の言葉を受ける。現状からの平和解決に向けてわれわれ一行から国連に対しての要請書を喜納が渡すと、デュブワ代表は「本日中にニューヨークのアナン事務総長に送る。」と答えた。イラク式紅茶を頂き、玄関で記念撮影。喜納が沖縄のシーサーを贈呈すると「今、国連に一番必要なものだ。」と喜んでデュブワ代表は受け取った。

面会終了後、イラク国営テレビのインタビューを受ける。それにあわせるかのように、向かいの通りではイラク人によるデモが現れる。
TV東京「ニュース・アイ」に生中継で出演。情報省のプレスセンターでTV東京の夕方5時からの「ニュース・アイ」に生中継で出演。この時期に回線を15分間押さえるのは大変だったようだが、イラクからの生出演はインパクトがあっただろう。

イラク政府ハミッド・ユシフ・ハマーディー(HAMID YOUSIF HAMADI)文化大臣と面談

文化大臣との面談のため文化省へ。文化大臣の筆頭書記官とまず面談。歓迎の言葉に喜納も返礼。ほどなくしてハミッド・ユシフ・ハマーディー(HAMID YOUSIF HAMADI)文化大臣の執務室に通され、軍服姿の大臣に迎え入れられる。
文化大臣「Most Welcome 最大級の歓迎を申し上げます。日本のヒーローに会えて光栄です。このような厳しい状況下のイラクに訪れていただいた勇気に感謝いたします。滞在中あなた方が会いたい人には誰でも会わせましょう。行きたい所はどこへでも連れて行きましょう。イラクを存分に楽しんでください。」
「アメリカには文化がない。あるのはSEXとエンターテイメントです。そしていつでも利権のことしか考えていません。自分たちがもうけるためなら何だってやります。ある利権者がつぶれたら、また次の利権者が出てくる。そのくり返しです。我々は東洋の人間です。イラクは文明発祥の地です。アメリカとは歴史が違います。文化は、人類全体のことを考えます。これから日本とイラクの交流がより活発になるように、日本でイラク週間を開催してください。」
喜納からは武器提供の要請をする。文化大臣は最初「どうやって飛行機に乗せるのか? 武器をコレクトしてどうするのか?」など質問をあびせたが、川満信一団長が沖縄の戦争の歴史や米軍基地の存在の脅威などに触れながら説明していくと、「モニュメントはどのようなデザインにするのか? 武器そのものをもらうより溶かして鉄にしたものをもらう方が現実的ではないか?」と具体的に話を聞き始め、最後には「前向きに検討しましょう。」と言い、この会談を終えた。文化大臣に沖縄のシーサーを贈呈。イラクの子供達へとして文房具、寄付金を託した。

「花〜すべての人の心に花を〜」アラビア語の練習

17時からコンサートリハーサルのスタート。アーティストユニオン・オフィスディレクターのハジム氏に「花」をアラビア語に訳して頂き、カタカナで書き写しながら練習。ハジム氏の指導でアラビア語版「花」を練習。

コンサート直前、韓国のフロントラインニュースサービス、AP通信の取材を受ける。

ピース コンサート イン イラク開催

観客は各国大使館の大使、国連開発局イラク本部、アーティストユニオンが招待したアーティスト、イラク政府が招待したイラク人、各国のマスコミ、各国のNGOなど約300名が来場。日本大使も聞きつけて来場していた。 500名収容の会場に約半分強の集客。娯楽の少ない国ゆえコンサートなどイベントを待ち望んでいるといわれる市民の姿は見えない。客層を見てもイラク政府の制約のもとに行われているコンサートである事がうかがえる。結局、自ら2日間コンサートを行って欲しい、というリクエストしてきたのに当日1日のみに変更になったり、イラクミュージシャンとの共演も「素晴らしい! 是非一緒に」と約束しながらドタキャンになったり、ということが続いた。イラク側の内部でも文化的平和的アプローチを推し進めたい人々と、制約をしたい人々とのぶつかりがあるのか、と感じるのは考え過ぎだろうか。しかし、われわれ一行は「この客層の背景にたくさんのものごとが感じられる。」として、いつも通り勢力的なステージ作りに挑み、その結果、イラク側の対応の変化も感じられる事となる。

あいさつ
ダウド会長、川満団長

演奏・朗読
1. サットサング〜命のまつり
2. ヒヤミカチ節
3. 東崎
4. ポエトリーリーディング「砂を吐く」( 川満信一)
5. 花〜すべての人の心に花を〜(アラビア語)
6. アリラン
7. 久高マンジュー主
8. 森の人よ
9. ハイサイおじさん
10. 花~すべての人の心に花を〜
11. 滝落し
12. カチャーシー
13. 花〜すべての人の心に花を〜(アカペラ)

アリランを歌う前にスピーチする喜納。

喜納:「文明のふるさとイラクと、文明の最先端のアメリカがケンカすることは良くない。しっかりと対話し、韓国、北朝鮮の平和もイラクから発信して欲しい。」

「ハイサイおじさん」では、ステージに人々が上がりダンス・ダンス・ダンス。また最後のカチャーシーでもダンス。この光景は世界中どこでも同じ。こんなとき人種の壁などは感じられない。アメリカ人とイラク人の隔たりもない。
会場は「We Want More!」のアンコールの大合唱。国連のデュブア代表や日本大使もステージ上にあがり喜納と握手を交わす。デュブア代表が客席で「花」を聞いた時、両手を大きく上げて感動を表現していたのが印象的。あの感動表現は、突き詰められる国連としての立場の人間が“勇気を持ちなおした"という表現だったのだろうか。
最後にダウド会長よりアラブの伝統的弦楽器ズードが贈呈される。喜納はステージ前まで出ていきアカペラで「花」を歌う。会場からは観客が声を合わせ「モンスーラ・バグダッド(バグダッドに勝利を)」を歌い喜びをあらわにしている。そのリズムに合わせて踊るチャンプルーズ。一体感を感じながらステージの幕は降りた。

楽屋でARAB TELEVISION、とロイターの取材を受ける。

改めてダウド会長にアーティストユニオンオフィスに招待される。再びダウド会長のオフィスに呼ばれ、改めて感謝の言葉を受ける。ダウド会長より毎年9月に開催されている国際的音楽祭の「バビロン音楽祭への正式な招聘を受ける。ダウド会長から喜納へ感謝の気持ちを表現した記念トロフィーを授与される。確実になにかの扉が開けたような感触を持った。

イラク伝統音楽専門学校へ訪問

2月18日 イラク伝統音楽専門学校・ミュージックインスティテュート(MUSIC INSTITUTE)

ミュージックインスティテュートを訪問。ディレクターのムワハク・アブドル・ワハブ(MUWAFAC ABDUL WAHAB)氏が迎えてくれた。インスティテュートのシステム説明を受け、喜納も沖縄での音楽インスティテュート設立の構想について話す。沖縄のシーサー、CDを贈呈。その後、教室に案内され、われわれ一行の歓迎のため生徒達による楽団が演奏を披露してくれた。ズード3名、サンツール、バイオリン2名にパーカッション2名。生徒の演奏で先生方が古典3曲を熱唱。喜納はじめ一行全員大感動。最後は「モンスーラバグダッド」を全員で歌う。われわれもおはやし、合いの手、指笛などで参加し大いに盛り上がった。ここでイラク人の音楽への造詣の深さを改めて感じ、市民との交流を実感する。

バビロン遺跡

最後にバビロン遺跡へ訪れる。遺跡の壮大さに一同あぜん。バビロン音楽祭はこの遺跡のステージで行われるそうだ。博物館では、バベルの塔や、世界最古のジャーナリスト・ドゥドゥの話など聞くことができた。

バグダッド〜アンマン

バグダッド空港ではコンテナに積み込み前の荷物を再びチェックさせられたり、タラップの前でもう一度機内持ち込みの荷物をチェックさせられたり、という厳戒態勢の中、離陸。

2月19日 アムステルダム

2月20日 成田着 帰国記者会見 縄到着

駐日イラク共和国大使館アブドゥルワハブM.ガザル領事と面談。無事成功を収めて帰国した事に双方お礼の言葉を述べ合う。武器提供について「戦争の歴史が続いているイラクでは武器が平和の象徴になりうることがすぐには理解しづらいところもあるが、武器を直接でなくとも、鉄の塊にしたり、イラクのアーティストによってモニュメントに創り代えてから送ってくるなどの方法をこれから検討していきたい。」とのこと。

以上


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